轆轤を回して作られる美しい土鍋「伊賀焼」

2021.10.05

JTCW2021参加店舗のバイヤーが、全国の産地に足を運んだ様子を紹介する
“バイヤーズレポート”。
今回は伊賀焼の産地、三重県伊賀市の窯元「圡楽窯」に青山のライフスタイルセレクトショップ「プレインピープル青山」のスタッフが訪れました。自然と共生し健やかに生きるその姿に深く感銘を受けた訪問となりました。

伊賀焼 [三重]

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プレインピープル青山 [東京 青山]

窯元「圡楽窯」を訪れていかがでしたか?

山や林、川そして田園風景が広がる中にある窯元さんなんですが、その暮らし方、佇まいがとても自然と共生していて、まずその姿に感銘を受けました。こういう中で作られた焼き物なんだと知ることで、より深く魅力を知れたような気がします。

圡楽窯さんのご自宅でしょうか、囲炉裏のある空間がとても印象的でした。

はい。七代目と八代目当主である福森さんのご自宅です。客人が訪れるとまずあの囲炉裏に通され、お茶の一服でもてなされます。私が訪れた日はとても暑かったのですが、冷たいお抹茶を点てていただきました。七代目は美食家で知られる白洲次郎・正子さんや料理研究家の土井善晴さんに料理をふるまうほどの腕前で、私が訪れた日も囲炉裏で鮎を焼いてくださいました。その時に蓼酢(たでず)を作られたのですが、奥様に「庭から蓼をとってきてくれる?」と言われて、庭に自生している蓼から蓼酢を作られたんです。そうかと思えば、四女、八代目当主の道歩さんは近くに流れる小川にゴムボートを出して自然になっているじゅんさいを採ったりされていて。昔ながらの日本家屋で四季に合わせて設えを変えながら、折々の行事を迎える姿に本当に感動いたしました。

自然との共生に感動した、と仰ったのはそうしたことを見聞きされたからなのですね。

私自身があまりそういったものに触れることなく育ったので余計かもしれませんが、日本の伝統的な暮らしや文化に触れることができて、なんて美しいんだろうと思いました。

今回、伊賀焼をセレクトした理由を教えていただけますでしょうか?

八代目 福森道歩さん

時代に合せて伊賀の土を主体にした土づくりをし、一つひとつを職人が轆轤(ろくろ)引きし、削り、取手を付けるなどして、すべて手作業で行っているという点に非常に魅力を感じました。

轆轤で土鍋をつくるのは珍しいのでしょうか

型をつくらず、轆轤で作るというのはとても珍しいと思います。七代目はそのコツとして「内側をはらす(膨らます)」と仰っていましたが、そうやって作ることによって、ご飯を炊いたり、お肉を焼いたりした時にふっくらと柔らかく素材を生かした美味しい仕上がりになるのだと思います。なにより、一つひとつ轆轤を回して手づくりで作られた土鍋は“自分だけのもの”という感じが生まれてとても魅力的だと思います。

同じ土鍋でも、「私はこっちのほうがいいな」と好みが分かれたりしそうですね

そうですね(笑)「こちらのちょっと厚めの方が好みだな」とか、そういった選ぶ楽しみも味会わせてくれると思います。

最後に今回の取り組みへの想いを聞かせていただけますか?

八代目当主 福森道歩さんと

今回で八回目となるJTCWの第一回目から参加させていただいているのですが、毎回とても勉強になります。日本中の産地で古より人々が紡いできた文化を知ることで日本の伝統工芸の凄さを感じます。その工芸品の魅力を現代社会で自然に使えるものとして紹介していくのが私たちショップの役目だと思っています。毎年この時期になると「次はなにを扱うの?」って楽しみにしてくれるファンの方もいらっしゃいます。今はなかなか難しいですが青山という土地柄、外国人のお客様も多く訪れます。たまたまその時にやっていた和紙のワークショップに参加されてお土産にたくさん買って行かれたり…そうやって日本文化、工芸の魅力を伝える発信基地としてプレインピープル青山がお役に立てれれば、こんなに嬉しいことはありません。